今回は「クリティカル・ビジネス」について。
山口周さんのラジオを聴いていて、
ひとつの気づきがありました。
クリティカル・ビジネスとは、
社会運動や社会批判の側面をもつビジネスのこと。
近年、存在感を増している企業には、
この性質が色濃く表れています。
例えば、
Tesla、
Patagonia、
The Body Shop、
IKEA。
本来、ビジネスは
顧客の要望に応えることから始まります。
けれど、これらの企業は少し違う。
顧客の欲求に応えるのではなく、
ときに問いを投げかける。
例えばテスラは、
まだ電気自動車に関心が薄かった時代に、
「その選択は環境にどう影響しているのか」
と、社会に問いを投げました。
パタゴニアは、
「このジャケットを買わないでください」と語り、
消費そのものに疑問を投げかけました。
どちらも、
顧客に迎合するのではなく、
むしろ、
価値観に揺さぶりをかけています。
社会運動は、
いつも少数から始まります。
そして時間をかけて、
少しずつ多数へと変わっていく。
では、医療はどうでしょうか。
多くの人は、
病気になってから病院へ行き、
重症化すれば高度医療を受ける。
それが当たり前になっています。
けれど、医療資源は有限です。
なぜ、
病気にならないための行動は後回しになるのか。
そして、なぜ
「未病」を掲げながらも、
対症療法に偏ってしまうのか。
私はここに、
クリティカル・ビジネスの視点が必要だと感じています。
顧客の要望に応えるだけではなく、
ときに立ち止まり、
問い直すこと。
だから私は、
治療院という形ではなく、
「休息の場」として空間をつくりました。
治す場所ではなく、
離れる場所。
整える場所ではなく、
養う場所。
誰かのための場所ではなく、
あなた自身のための場所として。
このような視点を持つようになった背景には、
コロナ禍での経験があります。
消毒、マスク、ワクチン。
それぞれに意味はあったはずです。
けれど同時に、
過剰な反応や分断も生まれました。
そのとき、
人は何を根拠に「正しさ」を選んでいたのか。
科学は本来、
実証性・再現性・客観性の上に成り立ちます。
しかし、未知の状況においては、
その前提すら揺らぎます。
それでも人は、
何かを信じ、選択しなければならない。
だからこそ、
本質はシンプルなのだと思います。
栄養、睡眠、運動。
まずはそこに立ち返ること。
医療は特別なものではなく、
日常の延長にあるものです。
そして本来、
医療は「人生の目的」ではなく、
「人生を支える手段」です。
私は、
「治す人」と「治される人」という関係をつくりたくありません。
人が抱える問題を、
ともに見つめ、理解し、整えていく。
その関係の中にこそ、
医療の本質があると考えています。
鍼灸は、
即効性だけを求めるものではありません。
全身のバランスに働きかけ、
結果として変化が現れる。
それは、
ゆっくりとした変化かもしれません。
けれど、確実に
その人の内側に作用していきます。
どの選択をするかは、
すべて個人の自由です。
ただ、ひとつ言えることは、
「どう生きるか」という問いから、
医療もまた切り離せないということ。
これから私は、
鍼灸を「治療」ではなく、
よりよく生きるための
ひとつの選択肢として捉えていきます。
ネガティブを避けるためではなく、
ポジティブに生きるために。
そのための場として、
この場所を育てていこうと思います。
いまの時代に、
本当に必要なものだと感じているから

