余白をつくるという施術

私は、患者さんとの距離感を大切にしています。

 

例えるなら、
横綱相撲のようなものです。

 

どっしりと構え、
受け止める。

 

 

先日、柔道家の先生が子どもたちに
勝ち負けについて話している動画を見ました。

 

「負けて、やり返すのは正しいか?」

 

スポーツであれば正しいかもしれない。
けれど柔道では違う。

 

勝った理由があり、
負けた理由がある。

 

そこから何を学び、どう行動するか。

そして、相手がいたからこそ学べたことに感謝する。

 

 

この考え方は、
施術にも通じるものがあると感じました。

 

 

病気に勝つ必要はありません。
患者さんに勝つ必要もありません。

 

 

目の前で起きていることは、
その人そのものでもあります。

 

 

それを否定したり、
押さえつけたりすることは、
どこか違うように思うのです。

 

 

人だけを見るのでもなく、
病気だけを見るのでもない。

 

 

その両方を、
静かに見ていく。

 

 

相撲や柔道が、
単なる勝ち負けではないように、

 

鍼灸もまた、
ただ治せばいいというものではないと感じています。

 

 

大切なのは、
道からそれないこと。

 

 

だから私は、

 

話せる余白をつくること。
ときに笑いを入れること。
安心してもらうこと。
そして、考える時間を持ってもらうこと。

 

 

そういった関わりを大切にしています。

 

 

勝とうとする意識が強くなると、
知らず知らずのうちに、
相手を否定する形になってしまうことがあります。

 

 

だからこそ、
目の前の人をそのまま見る。

 

 

そして、
分からせようとはしません。

 

 

本当は、
本人が一番分かっていることだからです。

 

 

もちろん、
すべてがうまくいくわけではありません。

 

 

けれどその一つ一つが、
学びになっていきます。

 

 

こうして余白を大切にしていると、

 

その人の中にある言葉が、
少しずつ出てくるようになります。

 

 

特別なことをしているわけではありません。

 

ただ、
耳を傾けて、待つ。

 

 

「分かってほしい」と思わせるのではなく、

 

「この人に話したら、何かが変わるかもしれない」

 

そう思ってもらえるように。

 

 

すると時折、

 

変化のきっかけになる一言が、
自然と生まれてきます。

 

 

そのために必要なのは、
技術だけではなく、

 

寛容であること。

 

 

それが、
いまの私のあり方です。

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