鍼灸院にはさまざまな症状の方が来院されます。
いわゆる日常病として多いのは次のようなものです。
1)腰痛
2)肩こり
3)膝痛
4)頚腕痛
5)肩関節痛
6)下肢痛
7)不定愁訴
8)スポーツ障害
9)健康管理
10)頭痛
その中でも近年特に増えているのが「不定愁訴」です。
不定愁訴とは何か
検査では明らかな異常が見つからない。
しかし本人はつらい。
・めまい
・全身倦怠感
・ふらつき
・ほてり
・動悸
・頭痛
・目の違和感(ゴロゴロ・しょぼしょぼ・ねばつき など)
このような症状が長期に続く状態です。
背景にあるのは、
自律神経の乱れ。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、
常に緊張状態が続いているケースが多く見受けられます。
なぜ過緊張が起こるのか
原因として考えられるのは、
・慢性的ストレス
・生活リズムの乱れ
・食生活の偏り
・運動不足
・睡眠不足
・加齢
中でも現代人に強く影響しているのが
社会的ストレスです。
ストレスを受けると、脳の「扁桃体」が危険を察知します。
すると視床下部に信号が送られ、交感神経が活性化。
心拍が上がる
体が震える
顔が赤くなる
これは身体を守るための正常な反応です。
しかしストレスが強すぎると、
理性を司る前頭葉が抑えきれず、
扁桃体が暴走します。
結果として、
常に神経が高ぶった状態=過緊張が続くのです。
これが長期の体調不良の大きな要因です。
日常でできること
ではどうすればよいのでしょうか。
私は「日頃やらないことをやる」ことを勧めています。
例えば、
・対面で人と話す
・表情や空気感を感じながら会話する
・笑う
・相手の良い部分を見る
・自然に触れる
・動物に触れる
猫や犬を触ると安心するのは、
オキシトシン(愛情ホルモン)が分泌されるからです。
スキンシップ
マッサージ
柔らかいものに触れる
感謝の気持ちを持つ
これらはすべてオキシトシンを増やします。
現代は便利になりました。
インターネットやAIにより効率は上がりました。
しかしその代わりに、
人間的な営みの一部を失ってはいないでしょうか。
鍼灸院の役割
低価格のほぐし店に人が集まる理由。
猫カフェが人気な理由。
そこには「触れる」「つながる」という
本能的な欲求があるのかもしれません。
鍼灸院も同じです。
施術という目的だけではなく、
・会話による安心
・触れられることによる安定
・身体がゆるむという実感
これらが統合されて初めて、
長期の体調不良が少しずつほどけていきます。
私は鍼灸師やあん摩指圧マッサージ師は
社会資源だと思っています。
単に症状を取る人ではなく、
人間の営みを取り戻す装置のような存在。
もしストレスによる長期の体調不良で悩んでいるなら、
鍼灸やマッサージを生活に取り入れてみてください。
身体がゆるむと、
心も少しずつゆるみ始めます。
そしてそれが、回復の第一歩になるのです。

