15年ほど前、
「患者中心の医療」という考え方を知った。
病気には、
いくつかの見方がある。
ひとつは、
検査や診察で確認できるもの。
もうひとつは、
数値には現れないけれど、
確かに本人が感じているもの。
同じ「病気」という言葉でも、
その中身は少し違う。
鍼灸院に来られる方を見ていると、
この二つが重なっていることが多い。
身体に変化があり、
同時に、心にも何かを抱えている。
けれど、ときどき
どちらか一方だけのこともある。
たとえば、
画像では異常が見つかっても、
気にせず生活している人がいる。
反対に、
検査では問題がないのに、
つらさが続いている人もいる。
どちらが正しい、という話ではない。
ただ、
見えているものだけでは
足りないことがある。
これまでの経験や、
いま抱えている不安。
言葉にしきれない違和感のようなもの。
そういったものが、
静かに影響している。
身体を整えることは、
とても大切だと思う。
けれど、
それだけでは届かない部分がある。
だからこそ、
どこから来ているのかを一緒に見ていく。
はっきりと分けられるものではないけれど、
その人にとっての“本当の不調”に触れるために。
鍼灸院に来るタイミングに、
決まりはない。
気になったときに、
来てもらえればいいと思う。
状態によって、
関わり方は少しずつ変わる。
整えるというのは、
そういうものなのかもしれない。

