私は、「こころ」「からだ」「いのち」を整えるということを大切にしています。
治療の目的は、
時代や場所、そして他人に左右されない価値ある治療を行うこと。
流行が終われば必要がなくなる。
そんなものではなく、特別でなくても、いつでも思い出してもらえるような身近な存在でありたいと思っています。
私がそのように考えるようになったきっかけは、ある二冊の本でした。
稲葉俊郎医師の
『いのちを呼びさますもの ひとのこころとからだ』
『いのちはのちの命へ 新しい医療のかたち』
偶然手に取ったその本は、私の考え方に大きな影響を与えました。
医療は、特別な場所にあるものではなく、もっと身近でいい。
そして人が精神的に休める場所として存在してもいい。
そう思うようになったことが、今の治療院の形につながっています。
鍼灸院を構えてから、気づけば十年以上の時間が過ぎました。
その間、さまざまな形で文章を書いてきました。
多くの人に知ってもらうための文章です。
マーケティングやブランディングを意識し、興味を持ってもらうための言葉を選びながら書く。
それは仕事として大切なことだと思います。
誰かに届く文章を書くことは、コミュニケーションの一つだからです。
けれど、マーケティングを意識しすぎると、どうしても似たような文章になってしまいます。
どこかで見たことのある言葉ばかりになり、結局はつまらない文章になってしまう。
私はそれが、どうしても好きになれませんでした。
私は昔から「お客様は神様です」という考え方があまり得意ではありません。
むしろ、気が合う人にだけ施術ができればいいと思っています。
十人のうち、三人くらいの人に好かれれば十分です。
記事を読んでくれた人の中で、
「感性が合う」
「治療をお願いしてみたい」
「鍼灸に少し興味がわいた」
そう思ってくれる人が三人いれば、それでいいのです。
私は意識が高いわけでもありません。
お金持ちになりたいわけでもありません。
気の話をすることも、ツボを語ることもあまりありません。
それらは、調べればすぐに出てくるものだからです。
私の考えを押し付けるつもりもありませんし、誰かを導こうとも思っていません。
ただ、自分の思ったことを書いているだけです。
この記事も、鍼灸師に向けて書いているわけではありません。
あなたに向けて書いています。
ただ、自分らしく生きている人に向けて。
これまでさまざまな身体の不調に対して施術をしてきました。
肩こり、腰痛、慢性的な痛み、原因のはっきりしない不調。
人の体には、本当にさまざまな問題が起こります。
けれど私が一番大切にしていることは、少し違います。
それは、
身体を休める場所であること。
そして、
安心して眠れる場所であること。
痛みや不定愁訴の治療は、そのあとに続くものだと思っています。
私は、人を肯定する場所をつくりたいと思っています。
人は日々の生活の中で、知らず知らずのうちに疲れていきます。
体だけでなく、こころも。
そんなとき、少し休める場所があるだけで、人はまた歩き出すことができます。
鍼灸院という場所が、
そのような場所であればいい。
私は、そう思っています。

