進化を止めた身体

「進化しない人間のほうが多いかもしれない。
でも、勝っている人はみんな進化している。」

そんな言葉を聞いたことがある。

スポーツの話のようにも聞こえるが、
人生の話なのかもしれない。

そして、身体の話でもある。

人は急には崩れない。

少しずつ、
気づかないうちに、
前提のようなものが変わっていく。

呼吸が浅くなる。
動ける範囲が狭くなる。
疲れが抜けにくくなる。
思考がどこか硬くなる。

それでも日常は続く。

だから気づきにくい。

痛みや不調が現れるころには、
ずいぶん前から小さな変化が積み重なっていることが多い。

いまの生活は便利だ。

情報もあり、
道具もあり、
薬もある。

けれど身体そのものが変わらなければ、
外側のものに頼ることも増えていく。

本来、身体は環境に合わせて変わっていく。

姿勢も、筋肉も、神経も、
静かに適応を続けている。

けれど、

同じ姿勢
同じ動き
同じ生活

そうした選択が続くと、
変化の余地は少なくなる。

整えるという言葉は、
ときどき「元に戻すこと」として使われる。

けれど実際には、
少し違うようにも感じる。

整えるとは、
次の変化に対応できる状態をつくること。

年齢も、環境も、役割も、
少しずつ変わっていく。

身体もまた、
それに合わせて変わっていく必要がある。

一流と呼ばれる人ほど、
身体に時間を使っていることが多い。

特別なことをしているというより、
身体の状態を整えることを
日常の一部として持っている。

集中力や判断力も、
どこか身体の状態に影響される。

思考だけを整えようとしても、
身体がついていかなければ
長くは続かない。

停滞は、
静かに進む。

自分では気づきにくい。

「まだ大丈夫」
「これくらい普通」

そんな感覚の中で、
少しずつ形が固定されていく。

身体は本来、
変化し続けるものだと思う。

けれど変わるきっかけがなければ、
そのままの形で止まってしまうこともある。

進化しない人のほうが多いのかもしれない。

それでも、
変わり続けている人たちがいる。

その多くは、
まず身体を整えるところから
始めているようにも見える。

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