誰がやっても同じになるとき

「求められているものを提供する」

それが商売の基本だと、
よく言われる。


けれど、
その言葉に、
どこか違和感が残る。


駅から近いこと。
料金が安いこと。
施術が早いこと。


そうした条件を整えていけば、
選ばれやすくなるのかもしれない。


けれど、
それを重ねていくと、
どこかで同じ形になっていく。


誰がやっても変わらないもの。


似た言葉が並び、
似た内容が並び、
違いが見えなくなる。


選ぶ側もまた、
何を基準にすればいいのか
分からなくなる。


あるとき、
テレビを見ていて思った。


画面の中の人たちの、
違いがよく分からなかった。


整えられた顔立ちや、
似た雰囲気。


それが「基準」なのだとすれば、
そこに個性は残るのだろうか。


求められるものに応え続けると、
やがて、
それに似ていく。


そして、
飽きられたとき、
必要とされなくなる。


長く続いてきたものは、
その流れとは少し違う場所にある。


当たり前のことを、
当たり前に続けること。


それは、
目立たないけれど、
簡単ではない。


外に合わせていくのではなく、
内側にあるものを
整えていくこと。


人によって違い、
土地によっても違う。


無理に揃えなくてもいいのだと思う。


自分に合うやり方があり、
その人に合う方法がある。


それを見失わないこと。


それが、
続いていくものの
条件なのかもしれない。

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