自身の解像度を上げるということ

皆さんはラジオを聴きますか?

私は患者さんとの会話のため、そして自分の思考を広げるために聴いています。
今はradikoという便利なアプリがあり、リアルタイムでなくても聴けますからありがたい時代です。

今回、山口周さんのラジオで紹介されていた
『「池の水」抜くのはだれのため?暴走する生き物語』という書籍の内容が印象に残りました。


池の水を抜く。
目的は外来種の駆除。

テレビ番組としては、汚れた池がきれいになり、珍しい生き物が見つかる。
確かに面白い構成です。

しかし実際には、水を抜くことで様々な支障が生まれるそうです。

なぜなら、自然は複雑なシステムで構成されているから。

一部だけを「悪」として排除すると、思わぬ悪影響が出る。

この話を聞いて、何か思い当たることはありませんか?


過去にマラリア対策としてDDTが使われました。
蚊を殺すための薬です。

しかし結果として、環境や生態系に深刻な影響を及ぼしました。

「敵を排除する」という発想は、一見わかりやすい。
けれど世界は、それほど単純ではないのです。


宮沢賢治の『雨ニモマケズ』に

よく見聞きしわかり

という一節があります。

よく見る。
よく聞く。
そして、わかる。
そのうえで、考える。

これこそが、世界の解像度を上げる態度なのだと思います。


紹介されていた方は、
「読書は世界が前より良く見えるメガネのようなものだ」と言います。

目の前の世界は広大で、人生は短い。
だからこそ、読書は世界の解像度を上げてくれる優秀なツールなのだと。

知らなかったものに、質量と輪郭を与えてくれる。


環境問題の要因として挙げられる

・気候変動
・生息地の破壊
・汚染
・乱獲
・侵略的外来種

これらは動物の世界だけの問題ではありません。
人間の世界にも、そのまま当てはまります。

環境問題とは、人と人との問題でもある。

生き物だけを愛しても、
人だけを愛しても、
世界は整いません。


身体も同じです。

症状だけを「悪」として排除する。
薬で抑え込む。

それは池の水を抜くことに似ているのかもしれません。

身体は精密で複雑なシステムです。
単純な敵味方の構図では語れません。


薬を使う意味。
身体が壊れる意味。
命をすり減らす意味。

情報は溢れていますが、
必要な情報は自分で探さなければ出てきません。

アルゴリズムは、あなたが見たいものを見せ続けます。
だからこそ、自分の目と耳で注意を払うことが大切です。


あなたは、それでも
鍼灸が体のシステムに悪影響を及ぼすと思いますか?

鍼灸は「敵を排除する医療」ではなく、
身体全体のバランスを整える医療です。


よく見て、よく聞いて、わかる。
そして考える。

この姿勢を手放してはいけません。

自身の解像度を上げること。
それが、身体を守ることにもつながるのです。

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