その不調は、どこから来ているのか

疲れが抜けない。
気分が沈む。
何もする気が起きない。


そんな状態が続くと、
ふと、こう思うことがあります。


「これは、鬱なのだろうか」


調べてみると、
当てはまるようで、どこか違う。


それでも一度そう考え始めると、
はっきりするまで不安は消えません。


気がつけば、

仕事や家庭のことでいっぱいになり、
自分のことは後回しになっている。


考えごとは増え、
頭から離れなくなる。


では、

薬で整うのでしょうか。


眠れなければ、眠るための薬。
痛みがあれば、それを抑える薬。


現代医学は、
症状を軽くすることに長けています。


それは、とても大切なことです。


ただ、

それだけで
すべてが整うとは限りません。


身体は、

ひとつの原因で崩れるわけではないからです。


あるとき、
一人の男性が来院されました。


電車で一時間半。

顔色はどこか青く、
力が入りきらない様子でした。


話を伺うと、


「今年は、なんだか調子が悪いんです」


毎年、同じように冷房を使っている。
生活も、大きくは変わっていない。


それでも、今年だけ違和感がある。


こういうとき、

見落とされやすいものがあります。


変化です。


生活が同じでも、
身体は同じではありません。


年齢。
ここ数年の積み重ね。
目には見えない疲労。


それらは静かに重なり、
ある時期に表に出てきます。


「いつも通り」が、
少しずつ合わなくなっている。


そのズレに、
身体が反応している状態でした。


施術では、

強く刺激することはしませんでした。


背中に、ゆっくりとお灸を据える。


急がず、
焦らず、

落ちている力を、
少しずつ起こしていく。


それだけのことです。


いま、私たちは
とても速い世界に生きています。


情報も、移動も、
あらゆるものが加速している。


けれど、

そのスピードに
身体が追いついているとは限りません。


身体は、
時間の中で変化するものです。


整うにも、
回復するにも、

それなりの時間が必要になる。


早く良くなりたい。


その気持ちは、自然なものです。


けれど、

急ぎすぎることで、
かえって負担になることもある。


受け止める力がなければ、
変化はうまく定着しません。


だからこそ、

待つことも、ひとつの選択になります。


ゆっくり温めること。
ゆっくり戻っていくこと。


それは、遠回りのようで、
結果的には自然な道です。


思うようにいかないときほど、
焦らなくていいのかもしれません。


とくに、

自分自身と向き合うときは、


「早さ」よりも、
「ちょうどよさ」を。


身体は、

いつも静かに、
変化を教えてくれています。


その声に、

どれだけ気づけるか。


それだけで、

流れは少しずつ変わっていきます。


無理に整えようとしなくていい。


ただ、

自然の流れに、
もう一度合わせていく。


それだけで、

戻ってくるものもあるのだと思います。

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