薬は、本来とても有効なものだと思っている。
症状を抑える。
状態を安定させる。
回復のきっかけをつくる。
必要な場面では、確実に役に立つ。
ただ一方で、
「長期的に飲み続ける」という前提になると、
少し見方が変わってくる。
なぜなら、
薬は多くの場合、
今ある反応を抑えるためのもの
だから。
痛みを抑える。
炎症を抑える。
不安や興奮を鎮める。
それ自体は、とても大切な働き。
ただ、
その状態が長く続くと、
本来起きていたはずの反応が、
見えにくくなる。
身体が出していたサインが、
静かになる。
それによって、
「良くなっている」と感じることもあるし、
実際に楽になることもある。
けれど、
なぜその状態が起きているのか
そこが変わっているとは限らない。
もう一つの視点として、
身体は本来、
バランスを取ろうとする性質がある。
外から作用が加わり続けると、
それに適応しようとする。
これがいわゆる、
耐性や依存といった形で現れることもある。
効きにくくなる。
やめると反動が出る。
それは異常ではなく、
身体の反応のひとつ。
さらに、
薬の多くは、
肝臓で代謝され、腎臓で排出される。
つまり、
処理する負担は、身体側にある。
短期間であれば問題にならないことも、
長期的になると、
少しずつ影響が積み重なる可能性がある。
ここで少し具体的に見てみる。
長期使用が問題になりやすい薬の一部として、
・エチゾラム(抗不安薬)
・ロキソニン(消炎鎮痛薬)
・GLP-1受容体作動薬
・SGLT2阻害薬
・リリカ(神経障害性疼痛治療薬)
・抗アレルギー薬
・ステロイドホルモン剤
・スタチン(脂質異常症治療薬)
などが挙げられる。
たとえばロキソニン。
痛みや炎症を抑える効果は高い。
その一方で、
・胃粘膜への負担
・腎機能への影響
・血流への影響
といった側面もある。
短期的には有効でも、
長期的には別の負担として現れる可能性がある。
他の薬についても同様に、
メリットとデメリットは、常に両方存在している。
効果があるということは、
身体に作用しているということ。
その作用が長く続くと、
別のバランスに影響することもある。
ここで大切なのは、
薬を否定することではない。
必要なときには使う。
頼るべきときには頼る。
ただ同時に、
ずっと使い続ける前提でいいのか
そこを一度、考えてみること。
症状を抑えながら、
その背景にあるものは何か。
生活のリズムなのか。
ストレスのかかり方なのか。
身体の使い方なのか。
そうした部分に、
少しずつ目を向けていく。
薬で整えることと、
身体そのものが整うことは、
必ずしも同じではない。
だからこそ、
距離を持つ。
完全に離れるでもなく、
依存するでもなく、
必要なときに使いながら、
少しずつ手放していける状態を目指す。
それが、
長く付き合っていく上での、
ひとつの形なのだと思う。

