いま高齢のご夫婦のご自宅に往診に伺っています。
ご自宅は京成八幡の近くで、静かな時間が流れているのだけれど京成線が走る音や小学校から聞こえる子供の声。
そんな中、築100年の日本家屋の居間で語らいながら施術をおこなうわけです。
庭木を眺めながら草木の話をしたり、テレビのニュースで談笑をしたり。
これらはただ単に話しているのではなく、目の前にいる人の暮らしから情報を得る大切な時間です。
その情報を元に限られた条件の中で施術内容を組み立てます。
結局のところ難しい理論で難しい方法を選択しているわけではなく、動物本来の感覚を研ぎ澄ませるわけです。
今朝、千葉大学附属病院で総合診療科の特集が組まれていましたが最低でも2時間かけて診察をするとのこと。
そう考えるとこれまでの2~3分の診察では無理があったのだと思います。
一方で鍼灸マッサージが1時間かけて話を聴きながら、その人を知っていくという作業は無意味なものではなかった。
むしろそれが鍼灸の良さであり、これ以上もこれ以下もない。
さて、「鍼灸の良さとは何だろう」。
それはこの距離感なのでしょう。
人をみる医学というのか、人や暮らしに近いということが鍼灸の良さのように思います。
私たちはそうして人と向き合うのです。