「鍼灸を問い直す ― 部分ではなく、構造をみる」という文章を書いてから、数日が経ちました。
あらためて、その背景にある考えを少しだけご紹介したいと思います。
これからの3年間、私は「構造編集」と「鍼灸」を軸に取り組んでいこうと考えています。
目指しているのは、
身体に余白を戻すことです。
行徳に鍼灸院を開業して13年目を迎えました。
海外で鍼灸を行った経験を通して、私は予防という視点が自分に合っていることに気づきました。
それは「何かを加える治療」ではなく、
「余分なものを引いていく治療」です。
現代は、何かを足すことで価値が生まれる社会のように感じます。
情報も、評価も、肩書きも、常に加算されていく。
医療や施術の世界も、その流れと無関係ではないように思います。
強い刺激や目立つ方法が評価される場面もあります。
それが良い・悪いということではありません。
ただ、方法そのものが目的化してしまう瞬間があることに、私は違和感を覚えるようになりました。
東洋医学は本来、「暮らし」と地続きにあるものです。
特別な技術というよりも、生き方の延長にある知恵です。
しかし現代では、鍼灸もまた対処療法の一つとして位置づけられています。
肩が凝ったからほぐす。
疲れたから整える。
それ自体は自然なことです。
けれども、もしその背景にある生活や意識の構造が変わらなければ、
同じ不調は繰り返されます。
医療は最後の砦であり、本来はそこに頼らずに済むことが理想です。
十分な睡眠、適度な運動、栄養、心のゆとり。
それらが整えば、多くの不調は起こりにくくなります。
もちろん、個体差や環境によって生じる病もあります。
だからこそ、日常の中で少しずつ整えていく視点が必要だと感じています。
私たちは日々、無意識の選択を繰り返しています。
その積み重ねが、身体と意識の構造をつくります。
歪みは突然生まれるのではなく、静かに重なっていきます。
その構造に目を向けるために、
通常の鍼灸・リラクゼーションとは別に「構造編集」という取り組みを始めることにしました。
内容は3つです。
・身体と意識の構造編集
・構造編集
・臨床構造編集
「身体と意識の構造編集」は、
言葉にならない違和感を抱えている方に向けたものです。
これは治療ではありません。
症状を消すためのものでもありません。
触れるのは筋肉だけではなく、
整えるのは症状そのものでもありません。
東洋医学の五術
山(養生)、医(漢方・鍼灸・按摩)、命(運気)、相(身体構造)、卜(易)
これらの視点を土台に、その人を構成している身体と意識を読み解きます。
そして、本来の位置へと戻していく。
そこに自然な余白が生まれるよう、静かに整えていきます。
治すのでも、正すのでもなく、
本来の構造が自然に整う場をつくる。
生き方が変われば、症状は変わります。
意識が変われば、選択が変わり、
選択が変われば、結果もまた変わります。
必要以上の刺激は要りません。
術者と患者の承認欲求を満たすことも、本質ではありません。
求められているのは、その人にとってちょうど良い関わりです。
私は特別なことをしたいわけではありません。
ただ、クライアントが生きやすくなるための一助として、
構造編集と鍼灸を静かに重ねていきたいと思っています。
そして、今後はこのやり方を中心にしていく予定です。

