ある日、クライアントから予約のメールが届きました。
「今回は心身ともに疲れました」
1か月ぶりの連絡。
文面の行間から、いつもより深い疲れがにじんでいました。
普段は腰を中心に整え、日々の疲れを取る施術をしています。
けれど今回は、身体だけではなく「心」も相当疲れている様子です。
何か励ましになるものはないかと考え、
ふと頭に浮かんだのが寅さんでした。
目にとまったのは、この言葉です。
「人間って何のために生きてんのかなぁ?」
これはもう哲学ですね。
生物学的にいえば子孫を残すため。
社会的にいえば役割を果たすため。
けれど「私」という個としては、何のために生きているのでしょうか。
以前、クライアントから映画『PERFECT DAYS』を勧められました。
その関連動画で、又吉直樹さんがこんな話をしていました。
人生のほとんどは「線」である、と。
私たちはどうしても「点」に目を向けます。
成功や失敗、出会い、別れ。
けれど本当は、人生の大半は静かな「線」の連なりなのだと。
今回のクライアントの悩みも、
長い人生という線の中に現れた一つの点。
けれど、その点の渦中にいる時は、
それがすべてのように感じてしまいます。
そんな時、寅さんの言葉がよぎりました。
甥の満男が問いかけます。
「おじさん、人間ってさ…人間は何のために生きてんのかな」
寅さんはこう答えます。
なんていうかな、ほら、
あぁ生まれてきて良かったなぁってことが
何遍かあるじゃない。
そのために人間生きてるんじゃないか?
(昭和62年 第39作「寅次郎物語」)
「何遍かあるじゃない」
この言葉が好きです。
毎日じゃなくていい。
ずっとじゃなくていい。
「ああ、生まれてきて良かった」
そんな瞬間が、人生のどこかに何度かあればいい。
そのために、生きている。
今日は『男はつらいよ』第1作の公開日にちなみ【寅さんの日】だそうです。
たまには昔の映画を観て、声を出して笑う。
それもまた、大切な時間です。
人生は線。
今は苦しくても、それは通過点かもしれない。
映画を見終わったあとに、
少しでも笑って忘れられますように。

