時々、施術の話(3)|首の痛み

首の痛み

ある患者さんの話。
元々はイベント企画運営の会社に就職するも体調を崩したとのこと。
今回は首の痛みを訴えての来院でしたが、過去に何度か鍼灸を受けるも直後効果しか得られなかったといいます。
脈は孔脈であり、血との関わりが深いことから施術後に漢方内科を紹介。
なお鍼灸治療後は症状が出ていません。

孔脈についての詳細ですが、鍼灸は脈の強さ、形状を診ます。
この方の脈は弱く、脈形はねぎの芯のようで、浅くあるいは深く、両側でうかがうと両側ともに得られました。
臨床では失血・津液の消耗を疑い、大失血症にみられます。例えば吐血、鼻血、崩漏などの病です。
ですから首の痛みであっても血との関わりが深いことを理解していなければなりません。
よって生理について確認する必要があります。結果として月経に関する漢方を処方してもらうことで治癒しました。

みなさんは、鍼灸のツボだけで回復すると思うかもしれませんが実際には目的と手段は異なります。
鍼灸だけでよくなるもの、漢方を組合わせるべきもの、睡眠で良くなるものもあります。
つまり病症と体質によって手段は異なるのです。

仮に成田空港へ行くとして日暮里経由、上野経由でスカイライナーを使うことも可能です。
ターミナル駅から高速バスもありますし、自宅からタクシーということも可能ですし、徒歩でもよくて、自転車でも良いですよね。ただ手段は効率の他に体力で選択されます。実際には天候の影響も受けるわけです。

鍼灸師はこのことに対して目的に応じて手段を提案実践しています。
グーグルマップを使っているのに目的地まで遠くなったり、そういったものを使わずとも短時間で目的地に到着するのは、経験によって差が生じるからです。

私の鍼灸はこういったことを考えながらおこなっています。
ただ刺すだけでよいのであれば、物理療法として整形外科で何かを行えばよく、鍼灸院だからこそできることがあります。
AIではなく、人間であり、鍼灸師だからこそこのような提案実践が可能なのです。
治療費が高い理由はこのような背景があることをご理解いただけたらと思います。

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