鍼灸を受け続けて意味があるのか

10年近く来院しているAさん。

鍼灸を受けるきっかけは「首の神経痛」と「過敏性腸症候群」でした。

元々は職場が近くであったため通われていましたが、転勤後も1時間かけて来院されています。

また休日には自宅がある千葉から2週に1度は施術を受けるため来院されます。

当院にはこのように体調管理を目的にしている方が全体の8割で、残りの2割の方は一時的な治療を希望する方です。

日本における鍼灸の立ち位置は対症療法であり、一時的な問題解決を目的に受ける方がほとんどだと思います。

つまり、鍼と灸という道具が東洋医学であって、方法と選択は西洋医学と何ら変わりがありません。

しかし、体調管理を目的に継続して受けている方は「何となくやっていると調子が良いから」と話します。

例えば、癌であったり、糖尿病であったり、自己免疫疾患であったり。

これらは鍼灸で治るとは言えませんが、標準治療を受けるだけよりも悪化することはありません。

現状維持ではありますが良い状態、安定した状態を維持でき、薬の量が減ったり、減薬のリバウンドを防ぐことは出来ます。

顔面神経麻痺や突発性難聴、脳梗塞に対しては、標準治療の補完医療として受けると良いでしょう。

その場合には早急にスタートして、1週間毎日受けるべきです。

それができないのであれば第一の優先は標準治療しかありません。

さて、はじめに紹介させていただいたAさんですが、現在は体調管理を目的に来院されています。

このことを誰かは「鍼灸は癖になる」と言うのですが、実際にはそういうことはありません。

ただ、この8割の方を診ていての共通点をあげるとしたら繊細な方が多いと思います。

あとの2割の方がストレスの耐性が強いというわけではありませんが、前者は幼少期からの気質を理解していたり、自身の大病や家族の大病によって定期的な身体のケアの重要性を知っているからと言えます。

ではなぜ定期的なケアが必要なのでしょうか?

その理由として、動物はストレスが続くと交感神経が過剰に働き、緊張・不眠・免疫低下が起こるからです。

これが慢性化すると心身は疲弊(病気の前段階)します。

この時に鍼を受けると、交感神経の興奮は抑えられ、副交感神経が優位になるためリラックス状態に移行。

さらにストレスホルモンを調整して、ナチュラルキラー細胞は活性、炎症の抑制が働きます。

それにより身体の痛み(炎症・血行不良など)が改善されて、回復・安定するわけです。

しかし、これを西洋医学の観点で考えると、様々な薬を用いて局所的であったり、部分的な治療がおこなわれます。

鍼灸院や鍼灸師よってはこれらの考えと同様に目的に応じた処置、治療をおこなうところも多いでしょう。

具体的には、肩が凝っているから筋弛緩剤、鎮痛薬、貼布薬、プラセンタ注射。

そして、それらの薬の副作用に対して胃薬。

ただし、これでは本質は変わらず薬の量が増える一方で本末転倒だと思うのです。

そもそも病気にならなければ良く、そのために「睡眠」「運動」「食事」「排泄」「余暇」といったことを見直せば大半の病気は未然に防げます。

先日、『2025年の全国公立病院赤字ランキング』というものをみたのですが、1位の多摩総合医療センターは-89億円、2位の墨東病院は-86億円、3位の駒込病院は-75億円と紹介されていました。

このことに対して、ある人は「コンサルを入れて経営をちゃんとしたら、黒字になるのかな?」と発信していたのですが、経営だけを考えたら救急、小児科を切り捨てることになり地域医療が崩壊すると書かれていました。

これを解決するためにはどうしたらよいか。

それは複数の角度からの総合的な対策が必要ですが、1つに予防医学があります。

つまり、医療に関心をもち、教育を受けるという事です。

澤田健は医道と政道においてこのように述べています。

「人間の肉ということを忘れちゃあ駄目ですよ。体と心はつながっているもので、別々なものではありません。体が病むと心も病むのです。その証拠には、体がよければ気分がよく、心が平和です。どうも今の世には、体の悪い人が多いので、従って思想が混乱するのです。昔は医道乱るときは国乱るというてなかなか医道を重く視たものです。秦の始皇帝なども、政道を正すために医道を正してをります」。


この時代は、何となく両方が乱れていると感じている方もいるでしょう。

でも暗中模索、何をしたら良いかわかりません。

ただ言えることは病気にならないことです。

それは病気を怖がるのではなく、健康を維持すること。

心を平和に保つことです。

そのために適度に鍼を受けたら良いのです。

動物は、健康から病気に向かい、病気から健康に向かう動的状態にあるため、その一時を切り取って何かを行うのではなく、永続的に手を加える必要があります。

「健康」を燃え広がった火事に例えると、「未病」はまさにボヤの状態です。

火事になれば消化のために大量の水が必要になりますが、ボヤの段階ならば、火元をみきわめればコップ一杯の水で消化することができます。

つまり、いかなる疾患も未病の段階で治療すれば、病気に進行することもなく、薬も最小限の使用で済みます。

これらの考えが小さい範囲では個人の健康、大きなものでは医療費削減など政道にも繋がります。

「健康」も「病気」も隣り合わせですから、日ごろから心と体を大事にすることを心がけてください。

ただし、ボヤも火事です。

火事は起こさないに越したことはありません。

これらから家を守るため、安心して暮らすために「警備会社」「セキュリティ会社」があるのだと思いますが、個人で出来る範囲は限られていますから、健康管理ということに置き換えてもプロに任せるのは大切だと思います。

そのことで安心して暮らせるのでないでしょうか。



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