鍼灸の回数や頻度の目安

今日は施術回数のお話です。

1回目の施術を終えると「何回か通わなければならないですよね?」という質問を受ける機会があります。

私は来院を促すことはないので予約を強制することも回数券の購入を勧めたりもしません。

その理由は、西洋医学のゴール設定が医師であるのに対して、東洋医学のゴール設定は患者になるからです。

ですから私は患者さんの自主性を大切にしています。 

つまり「やった方がいいですか?」という質問より「良くなりたいので来院頻度を教えて欲しい」という質問の方が答えやすいのです。

もちろん国民性もあります。

けれど日本の医療が西洋医学を基準にしているため、東洋医学も同様の受け方で良いと思っている方がほとんどです。

どういうことかというと、西洋医学は病気を対象にしているのに対して、東洋医学は人間を対象にしていますから、鍼灸を病院のように受けることはできないのです。つまり病気になる度に施術を受けるという方法は本来の東洋医学の受け方ではありません。

例えば西洋医学において病気というのは人生の1つの時期をさすと思うのです。

また「病気(部分)」と「私」は別の扱いになります。

ですから治療は治ったらおしまい。

患者が違和感を訴えても数値的に問題が無ければ治療を終えるわけです。

でも東洋医学においては「病気=私(全体)」となります。

そのため「何度受ければ良いか?」「どれくらいの期間受ければ良いか?」という問いに対する答えは「永続的」になります。

ある癌患者のAさんは毎週来院しています。

それはどうしてか?

答えは日々体調は変動しているから。

いま体調が悪いのに血液検査をして分かるのは1週間後。

その時には体調は戻っていて後に分かるのは1週間前の体調。

つまり、人間の体、細胞は常に変動しているにも関わらず、過去を現在のように扱ってしまうという問題が生じます。

ですから、その時々の問題や課題はその都度クリアにすることが必要なのです。

風邪により体調を崩していれば免疫に対してアプローチをして全体を整え、癌に対して影響が出ないようにします。

そして足が攣っている時は薬の副作用を考えて解毒を促して底上げをします。

それが週1回の施術で何とかなるのかというと症状の状態によっては足りません。

けれど、Aさんは食事を気にしており、運動をしており、睡眠を気にしていて、さらに好きなことをしているから何とかなっています。

これはAさんが主体性をもって受けているからであって、状態によってはこちらの指示で病院へいってくれることや、家族の協力があって成立していることです。

つまり「睡眠」「食事」「運動」の見直しをすれば施術の回数も頻度も少なくなります。

何が言いたいかというと「来てください」「受けて下さい」という話ではなく、健康なら鍼灸は受ける必要はありませんし、漢方も飲まなくて良いのです。

しかし、病気になったらどうなのか。

その場合には毎日受けて良いと思います。

なぜなら患者自身に治す体力がない、症状が重い、加齢や筋力などの状態によっては1回の施術では難しいからです。

だから私は「睡眠」「食事」「運動」の見直しや施術の必要性を伝えます。

回復は、年齢、既往歴、体質や体調などによって異なります。

過去のダイエット歴、投薬歴、アレルギー、自律神経の乱れ、過度なストレス、怪我や手術歴、妊娠・出産・人工妊娠中絶、不摂生、喫煙や飲酒は身体に大きな負担となり、回復の妨げになることを理解してください。

それらを含めて、症状が重たい場合には施術回数や頻度は週に2〜3回くらい、毎日でも良いです。

効果を維持するために期間を空けない方が良いです。

症状が回復してきたら週に1回、10日、2週に1回と減らしていくと良いでしょう。

症状が緩和してきたら予防で月に1回をおすすめします。

もちろん「そんなお金も時間もない」という方がほとんどです。

だから病気にならないようにして欲しいのです。

21年やってきましたが病気は大きなストレスになります。

出来ることなら病気にはならない方が良いのです。

これらの説明は私の考えではありますが、理想を書いているのではなく本当のことです。

1回で治せないのは腕がないからではなく病気が重たいからです。

1回で治るものは誰がやっても良くなる症状です。

しかし、病気を1回で治すというのは不自然であり、その効果を出すにも、持続力も健康度が関与してきます。

ですから病気はならないようにする、そしてなった時は真剣に取り組むことが必要です。

「1回試しに受けてみたい」「また悪くなったら来ます」という方がいますが、1回試しに受ける人は最大の効果は得られませんし、悪くなってから受ける方は病気にならない準備も治す準備もできていませんから鍼灸は不向きだと思います。

そういった気持ちで受けるのなら鍼灸を受けなくても日帰り温泉に行ったり、銭湯に通ってヒートショックプロテインの効能を利用した方が良いです。

ただ病気で湯治をしようと思ったら1週間から1か月の長期滞在が必要ですから、病気になった場合には時間もお金もかかるということはどの選択肢であっても同じです。

そして手術や放射線治療、投薬治療をおこなってすべてが元通りになることもありません。

それらの副作用や後遺症に悩むわけです。

その状態をコントロールするには週1回の施術がとても有益であり、2回ならなおさら良いわけです。
※理由として施術効果は72時間程度だからです。もちろん日常の過ごし方により変化しますから「睡眠」「食事」「運動」を見直せば効果は長く続きます。

1回でよくなる病気は軽度であり何か月も施術を受ける必要はありません。

何回かの施術で良くなれば中程度であり、3カ月は集中して受けてみてください。

最後に回復しきらないものですが、そのような場合には長期的に病気と付き合う必要があります。

一度壊れた身体のシステムが再び元の状態に戻ることはありません。
ですから自分と長く付き合う必要があることを理解していただいて日ごろから健康を気にかけましょう。

このことが皆さんに有益な情報になることを願っています。





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