1回目の施術を終えて。
何となく調子が良いような、かえって重だるくなったような感覚。
この感覚次第では鍼灸を受けて良かったになるか、受けなければ良かったかが判断されます。
それによって翌週の予約をキャンセルする方がいるのは鍼灸院にとって日常的なこと。
そして仮に来院されたとして身体の変化を質問すると、多くの人が「一時的に良くなったけど戻った」「効果を感じなかった」「分からなかった」と答えます。
経験上は短期間(1~2週間)で3回程度受けていただけたらハッキリと変化が分かるのですが、そこまでに至らない方が多いのも事実。
やはり病気や痛みを取りたいと思っていても良くなるまでに1週間に1度受けることは敷居が高いと判断されてしまいます。
そのことについて鍼灸仲間の医師が「保険診療でロキソニンを500円程度で処方されたら、わざわざ実費で鍼灸を受けようとは思わない」と言っていたことを思い出しました。
ただ、薬による対症治療が嫌であったり、薬の副作用が嫌な方が実費の鍼灸を受けていることもいますよね。
つまり保険医療を受けている感覚で実費治療を受けると誤差が生じてしまいます。
また、変化が分からないという点については唾液アミラーゼや血液検査を受ければ分かります。
ただ主訴の感覚と数値は関係ありませんから意味をなさないでしょう。
そして今この瞬間に検査をしたとして、検査結果が出るのは1週間を要しますから、数値化が正しいとも言い切れません。
例えばこれがネイルやヘアカットや料理だったら五感に訴えるために分かりやすいのですが、鍼灸はどうしても人によって誤差が生じるため難しい。
なぜなら感受性というものは人それぞれであり曖昧なものであるため、それを評価判断することは難しいのです。
アイススケートや新体操の芸術点とサッカーなどの球技の点数は価値は異なりますよね。
鍼灸もその効果を判断するのは人ですから、その評価は不透明なものになってしまいます。
そのため現在流行っている鍼治療は派手さがあるからこそ分かりやすいのでしょう。
話は戻りますが「一時的に良くなったけど戻った」「効果を感じなかった」ということで鍼灸を受けなくなるのは勿体ないです。
鍼灸自体は優れた方法ですが、それを扱いきれていない鍼灸師も確かにいます。
SNSをみていると期待してしまう方がいるかと思いますが、鍼灸は神秘的なものではないことを知ってください。
そして1回で大きく変化することはありません。
腰を据えて自分と向き合う必要があります。
「治るから正しい」「治らないから間違っている」という考えではなく、今自分の身体で起きていることが全てであることも知っておくと良いでしょう。