現代医学では、
- 眠れない → 睡眠導入剤
- 痛みがある → 消炎鎮痛剤
- 炎症がある → 抗炎症薬
というように、症状を抑える処置が行われます。
これは決して間違いではありません。
急性期や重症の場合、薬は非常に有効です。
ただひとつ考えたいのは、
その症状を出している身体の働きは、どこへ向かうのか?
という視点です。
私が中心性網脈絡膜症を発症したとき、
目の浮腫を改善する薬を処方されました。
しかし私は、薬に頼るという選択はしませんでした。
代わりに行ったのは、
- 睡眠時間を増やす
- 食事内容を見直す
- 運動を取り入れる
- 鍼灸で自律神経と扁桃の調整を行う
目だけを治すのではなく、
身体全体の回復力を高めることを選んだのです。
このとき痛感したことがあります。
自然治癒力は
「治そう」と思えば即座に高まるものではない。
長年の無理や負担の積み重ねの上に発症した以上、
身体はすぐには最大限に反応しません。
即効性を求めるのは人間の本能です。
その点、西洋薬は安定して効果を発揮します。
けれど実は、
その薬効でさえも最終的には
身体の回復力に依存しているのです。
私は幼少期からアトピー性皮膚炎がありました。
一度は落ち着いたものの、
20歳頃に再び悪化しました。
当時ステロイド軟膏を処方してもらい、
炎症は抑えられました。
ここで誤解してほしくないのは、
これはステロイド批判ではないということです。
ステロイドは炎症を抑える薬です。
しかし炎症を起こさない身体を作る薬ではありません。
あの頃の私は、
- お菓子やアイスを頻繁に摂取
- 強い掻破行動
- 仕事の緊張感
さまざまな要因の中で生きていました。
炎症は結果であって、
背景はもっと複雑だったのです。
アトピー性皮膚炎は、
同居していた祖母が亡くなってから落ち着いていました。
それは幼少期から感じていた
母の「空気」が変わったのだと思います。
この仕事に就いて気づいたのは、
母もまた葛藤を抱えていたということ。
私は無意識にそれを受け取っていたのです。
治療院を開くとき、
私は「女性のための場所」と決めました。
結果として来院される8割が女性でした。
これは偶然ではありません。
私自身が、
母という存在を通して
女性の葛藤と身体の関係を見てきたからです。
私はいつもこう考えます。
鳥は空気が見えない
魚は水が見えない
人間は自分が見えない
人は他人のことは見えますが、
自分の負荷や緊張、抑圧には気づきにくい。
病気も同じです。
数値や画像に現れたものだけが
「あなた」なのでしょうか?
数値に出なければ、
その苦しみは存在しないのでしょうか?
どちらも違います。
病気になったとき、
自己批判は必要ありません。
見えていなかったものが
形となって現れただけです。
アトピーのとき、
「掻かないで」と言われることが
私はとても嫌でした。
掻くという行為は、
その瞬間、心身のバランスを取っていたのです。
東洋医学を選ぶとは、
症状を消すことだけではなく、
- 自分に気づき
- 受け入れ
- 生き方を見つめ直す
ということでもあります。
病気を全力で治すことは間違いではありません。
しかし、
完璧な健康を目指すことは
苦しみを増やすことにもなり得ます。
だからこそ、
病気と向き合い
生き方を見直し
自然に還る
それが私の考える治療です。
病気を治す、というのは簡単なことではありません。
治すのは本人です。
だから私は「手を施す」ということだけではなく、
ボタンの掛け違いを直すという選択を加えました。

