日頃から夫婦で体調管理のため来院するAさん。
もともとは大手企業で講師をして全国を飛び回っていたそうです。
しかし体調を壊してエステ会社にセラピストとして転職。
そんなAさんがいつも通り来院したのですが、足を捻挫したと右足首の痛みがある場所を指さしてます。
良く見ると青くなっていて、少し腫れていて、さらに左右差を診ると少し熱をもっています。
「整形外科で診てもらって、湿布と固定具をしてたので引いてきたんですけどね」
「ただ、こんな感じに捻ると痛いんです」
いわゆる足関節捻挫。
転んで挫いた経験は誰でもありますよね。
今回の件は、外力によって靱帯を損傷したケース。
主訴は関節部の疼痛、腫れ、不安定感です。
話を聞いていると内反捻挫により受傷したことで痛みや腫れが出ているのでした。
整形外科で検査と指示を受けていることもあり、施術の目的は鎮痛と早期回復。
こんな時に鍼灸院は何をするかというと、低周波鍼通電、腫脹部の周辺を取り囲むようにして置鍼、お灸などがあります。
その効果は、疼痛や腫脹等の症状に対しては有効であるが関節可動域等の機能回復・改善に関してはテーピングや筋力トレーニングが優先であると紹介されています。
確かに疼痛や腫脹に対しては有効です。
しかし、可動域を変えられないかというとそうでもない。
もちろん機能回復や改善にはテーピングや筋力トレーニングが優先されるべきでしょう。
でも同時におこなう方が効率的だと思います。
私が日頃からおこなっている方法は北京針灸骨傷学院・助教授・朱明清氏の「朱氏頭皮針」です。
この本は15年前に恩師から紹介されて何度も読み返してきました。
その特徴は、適応範囲が広く、安全かつ有効で、効果が早くて確実に現れるだけでなく副作用がないという点です。
日本では宮崎県日南市山元病院院長の山元敏勝博士が1975年からYNSAとして紹介しており、その効果と有効性は注目されています。
今回、Aさんの足関節には直接的に鍼を刺すこと、灸をおこなうということはしていません。
メインは左手首へ2本の鍼を刺し、頭にある右下半身の領域に鍼を刺して置いたことです。
その中で1本刺すごとに動きや痛みを確認。
さらに移動した痛みに合わせて角度や深さを変えて鍼を数mm動かします。
すると痛みは取れて動かしやすさも出ました。
残った微かな痛みは小指でも取ることが出来ます。
それはフラクタル(自己相似的)の考えを用いれば可能なことでありこのような症例に適するものです。
以前、恩師からこんなことを学びました。
「下医形、上医神」。
どういうことかわかりますか?
自己相似性(フラクタル)を活用する
