日々のあわ

時間ができて、いま何をするか、何をしないかを考えるようになりました。

InstagramもXも長続き続きしないのは書きたいことも載せたいことも特にないからです。

ただ一人の鍼灸師としての考えは書くようにしています。

私は25歳ではじめての独立をしましたが、マーケティング戦略やコピーライティングといったものを知らなかったため、電話が鳴るのを待ち続けていました。

そこから看板のデザイン、ホームページ作成、SEO対策についてのスクールやコンサルタントをつけたりもしたのですが、ある時に気づくのです。

「この人、気持ち悪いな」
「何か変だな」
「胡散臭いな」

ちょうどfacebookが広がり始めて「自称〇〇」「〇千万稼ぐ整体師」などがもてはやされ、経営ノウハウを紹介するDVDやセミナーが増え始め、みな同じようなホームページの作るようになり、同じことを言うようになるのです。

海外へ出て帰ってきてから、日本では声が大きいもの、奇をてらうものが注目を浴びる傾向にあると気づきました。

それはタレントの名前であったり、グループ名であったり、鍼灸においてもです。

ですから太い鍼を沢山刺せば目立ちますし、白衣の襟をたてる鍼灸師もいます。

SNSが普及してからは誰もが発信者になる機会を手にすることとなり、声が大きい、フォロワー数が多いことが力として認識される傾向にあって、その誰かの影響力によって皆が同じ方向に流れるようになりました。

鍼灸業界では「〇〇流」「中国留学」「スポーツトレーナー」というように、誰かが何かを見つけると同じように染まり、人と違うことをすれば崇められる風潮にあります。

私はそれをコンビニエンス化したものとしてとらえており、整骨院や整体院も歯科医院も同様のことが言えると思っています。

つまり「立地」「金額」「最新の機械」「駐車場の有無」によって選択され、それよりも良い条件があれば捨て去られていく。

そのため文化として根付かず新しいものがまた取り入れられる消費社会が形成されるわけです。

こういった消費される社会で何かを行うには資本力が必要であり、資本力のない私たちのような鍼灸院は必然的に淘汰されます。

ですから大手フランチャイズであったり、インスタント要素の強い施術院が増え続けます。

「どこに行っても同じ」「誰がやっても同じ」という理由はこういった部分の影響が大きいと思うのです。

行徳で鍼灸院を構えて13年が経ちましたが、これまで色々なことをやりました。

しかし、マーケティング戦略やコピーライティング、コンサルタントが作り上げるものは個性のないもの。

どこかの街にはイオンがあって、マクドナルド、眼鏡市場、ココス、山岡家、すかいらーく、整骨院、セブンイレブンがあり、そこに個別性は必要ありません。

人生は1度しかないのに自分の外側にある合理的な社会のルールが個人を殺します。

みなさんは、栃木・那須塩原(旧黒磯)にSHOZO Streetという通りがあるのをご存じでしょうか?

きっかけは1988年にはじまった1軒のカフェ。

いまでは個性溢れるカフェやショップが点在します。

この町が1つの方向性に進んでいたら、どこにでもある地方都市の街並みだったかもしれません。

しかし、1軒の店をきっかけに文化が形成され、それぞれの個性が全体性を生むことになりました。

多様性を説く時代であるのに実際は同じ方向に進み、同じことに安心を覚えるというのは日本人の気質かもしれませんが、みなと同じはつまらないものだと思います。

自分の感覚を信じることは大切なことです。

私はいま鍼灸を次の時代に残すためにどうしたら良いか考えて動き回っています。

そしてこの町に鍼灸院があることが安心に繋がるようにと考えています。

あえて目をひくようなことをせず、日常のなかに当たり前に鍼灸院があったら。

そのことを信じてこれからも言葉を残していきたいと思います。







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