先日、千葉の厚生局へ行った帰りに千葉県立美術館へ民藝展へ寄りました。
そこに書かれていた柳宗悦の言葉が印象的でした。
『私は何よりも普段使いの品が健全にならずば、この世は美しくならないと思う者です』。
私が鍼で生計を立てることが出来たのは家元に弟子入りさせてもらえたことが大きいと思っています。
そのことを探求する時期も長かったのですが、灸というものに興味を抱くようになると普遍的なもの、暮らしというものに目を向けるようになりました。
もぐさを捻りながら灸をしていると、その時間は鍼では得られない感覚があります。
しかし、時代の変化と共に鍼が特別なものになった。
そして、暮らしから離れていった。
本来は「用と美」という言葉があるように実用性と美しさは両輪です。
けれど、どうしても鍼をする人に意識が向きがちになってしまうわけです。
鍼灸というものは特別なものではなく、人々の暮らしに寄り添うものだと思います。
医療は人々の暮らしのそばにあるべきものであり、特別なものではないということを展示を観ていて感じました。