痒みの原因が分からないという限界

金木犀の花弁が、少しずつ地面に落ちはじめました。
秋も、終わりに近づいているのでしょうか。

春も秋も、気づけば通り過ぎていきます。

この時期は、坐骨神経痛や脊柱管狭窄症の訴えが増えます。
朝晩の冷え込み、日照時間の変化。
季節の揺らぎは、思っている以上に身体へ影響します。

どうか、湯船に浸かってください。
それだけでも、体はずいぶん違います。


往診先でのこと

先日の往診で、80代の男性がこう言いました。

「体が痒くて困っている」

身長は180㎝ほどあるでしょうか。
体は大きいけれど、筋肉が落ち、痩せている。

施術をすると痒みはおさまります。
けれど時間が経つと、今度は別の場所が痒くなる。

固定された一点ではなく、移ろう痒み。


中医学的に考えると

中医学では「痒み」の原因として、

  • 風熱
  • 湿熱
  • 血虚
  • 血虚生熱
  • 陰虚
  • 気血両虚

などが挙げられます。

けれどAさんの場合、少し違和感がありました。

話をうかがうと、手作りの人参ジュースを毎日飲みはじめてから体重が5kg落ちたとのこと。

腹診では下腹部に力がない。
太ももの筋肉も落ちている。

痒みが移動することを考えると、
体力の低下との関係が強いように感じました。


体力という土台

高齢になると、自然と食欲は落ちます。

そこへさらに食事量が減り、体重が落ち、筋力が低下すると、
回復力そのものが弱くなります。

一度落ちた筋肉や体力を取り戻すことは、
若い頃のようにはいきません。

健康のためと思って始めたことが、
結果として体を支える力を奪ってしまうこともあります。


病気を食事から見る

無理な食事制限は必要ありません。

年齢を重ねた体には、
むしろ十分な栄養が必要です。

筋肉は、体力の貯金です。
体力は、回復力の土台です。

症状だけを追いかけるのではなく、
日々の食事や生活から見直す。

病気を整えるとは、
まず体を支える力を守ることなのだと思います。

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