鍼灸は生き方の医学(3)

「鍼灸師なのだからツボ紹介をすれば良い」。

おおよその考えはこういったことだと思いつつ、誰もが同じことを発信しているのであれば、自分は本質について役立つことを書きたいと思うのです。

けれど早く良くなりたいという方がほとんど。

だからヒントをもらいたいと思う気持ちも分かります。

ただ、病気を早く治そうとするのはどうでしょう。

これまで鍼灸を生業にしてきて、早く良くすることが価値であったり、信頼してもらい継続してもらうことに喜びを感じていたのですが、病気はならないに越したことはないわけです。

以前、虎ノ門で鍼灸院を開院していた時、患者さんが疲れ果てて訪れて全身を整えるわけですが、スッキリしてから夜の飛行機で外国へ出張に行き、帰ってくるとまた施術をおこないます。

この時、私は自分自身に疑問を抱いていました。

「私がやっていることは消耗させているだけではないか」。

このようなことは日ごろから思う事であり、この病気の本質は治療ではなく生き方ではないかと。

ただし、人が頑張る理由は必要とされることで生じたり、他にもあらゆることが関係します。

ですから、それを否定することはないのですが、病気は何かによって生じた結果として考えてください。

「罰が当たった」といった非科学なことを言いたいのではなく、そのままではマズいということを脳が指令を出しているのです。

例えば発熱でさえも解熱すれば良いわけではなく発症した理由があるわけで、疲労が蓄積していたり、免疫力が落ちていたりするのに、解熱だけしてしまうと脳は休めというサインを出さなくなってしまいます。

皆さんは病気というものは他人ごとに思いますよね。

「病気」と「私」、「私」と「病気」というように。

けれど、「私=病気」であって「病気=私」なのです。

何が言いたいかというと、薬で病気を抑えたりたたくということは自分を抑えてたたいているということと変わりないわけです。

これは非科学でもスピリチュアルでもなく当たり前のことですよね。

難しいことでもなんでもありません。

だけど難しいのです。

忙しいから食べない、コンビニ食で済ませるという方もいます。

楽しいから騒ぐ、酒を飲む方もいるでしょう。

お金を稼ぐために寝ずに働く方もいます。

それらの本質は何かと考え、それらを乗り越えるためにカフェイン飲料があったりするわけです。

そして病気になる。

なぜ病気になったかは、国の問題なのか、医療の問題なのか。

いえ、生き方なのだと思います。

病院ではそのことを教えてくれませんし、数値と画像をみて判断されます。

しかし、鍼灸院はそのことを踏まえて考えます。

だから鍼灸は生き方の医学だと思うのです。

病気になった時は、ぜひ自分と向き合ってみてください。

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