私はこれまで鍼灸に21年携わってきました。
この時間の中で大切にしてきたものは心の部分が大きかったと思います。
私が心というものに関心をもったのは中学生の頃ですした。
きっかけはバスケットボールの試合なると緊張してしまい、思うように身体が動かなくなってしまうのです。
「勝たなければならない」「失敗したらいけない」「自分が何とかしないといけない」という気持ちが強くなればなるほど、手から汗がにじみ出て、心拍は速くなり、身体が熱くなるのです。
それにより一時期はマネージャーに転身をして部員をサポートすることを選択しました。
元々は膝の成長痛をきっかけに腰も痛めたのですが、自分肯定のための逃避行動だったのだと思います。
私はその半年間で自分と向き合い、いろいろなことを考えました。
高校に進学してからは弱小校ということもあって緊張することは無くなったのですが、なぜか部員の心身の変化というものを感じるようになったのです。
「試合に出られないことの不満」「モチベーションが共有できない」「恋愛のいざこざ」「家庭の問題」など、あげようと思えば幾らでもありますが、不安や心配、悲しみや怒りというものがパフォーマンスに大きな影響を与えることを知り、私は高校2年生の時に一冊の本(『スラムダンク勝利学|辻秀一|集英社』)に出逢います。
スポーツ心理ドクターの辻先生が、スラムダンクのシーンに重ねて心理学の説明をするというもので、「根性は正しく使う」
「自主的な目標設定をしよう!」「目標達成への鍵は、理解と覚悟だ」といったことを紹介しています。
スポーツ自体は単純に勝敗であったり、数字で決まるのですが、そこに至るまでの過程には多くのことが関係するのに、どうしても技術や身体能力に注目がいきがちです。
しかし、実際には精神力というものが深く関わり、パフォーマンスに良し悪しに影響を与えます。
つまり「心にムラがあればシュートを外し」「ファールをされると怒り」「注意されると不貞腐れる」といったパフォーマンスと表裏関係にあるメンタルが大きなウエイトを占めるのです。
例えば、ストレスがかかる出来事として、「配偶者の死」「離婚」「別居」「拘置・拘留」「肉親の死」「怪我や病気」「結婚」「解雇」「退職」「家族の病気」などがあります。
これらによって体にどのような変化が現われるか。
分かりやすいものでは、唾液減少と喉の渇き、心拍は増加、血圧は上がり、汗をたくさんかき、興奮から抜け出せません。
これらが日ごろ常にあって蓄積していくわけです。
つまり、あなたが抱えている不調は単純な筋疲労などによる肩こりや腰痛ではないのです。
ここから先は私が意識気におこなっているものではなのですが、人間のエネルギーの場には、肉体・エーテル体・アストラル体・メンタル体・コーザル体といったものがあり、生命エネルギー、感情エネルギー、精神体、因果・原因、霊体という階層があるようです。
はじめの頃は、肉体で起きている問題は鍼灸マッサージで回復すると思っていたのですが、心との関係により発症している人がいることに気づきました。そして霊的なものによって発症している人がいたり、何らかの異常によって不調を起こしている人を知りました。
私はこれらを専門的にはしていないのですが、9割の方は心身を整えれば回復をして、1割に満たないの方の中には単純な問題ではないと認識しています。
今回、生き方の医学(1)というタイトルをつけましたが、鍼灸はただ身体に鍼を刺して、灸をするというものではなく、その人自身の意識的なものと無意識的なものが深く関係してきます。
つまり、技術だけで人が治せるわけではなく、ほとんどは患者さんの治ろうとする力や取り組みが必要であって、私たちはそれを引き出す媒体なのです。
ですから病気になった時というのは、一度生き方を見つめ直す機会だと思ってこれまでを振り返ってみて下さい。