時々、施術の話(5)|頭痛

「転職活動のストレスで頭痛が…」。

女性が額に手を当てながら頭痛を訴えて来院しました。

50分の施術を終えて、変化を聞きましたが痛みが残っているとのこと。

腹圧を上げたことで目の違和感は取れたものの、前額部の痛みが取れない。そのため公孫に鍼を刺します。

すると額の痛みがスーッと解けていきました。

転職活動のストレスによる甘物の摂取量が増えたことも想像できますが、過去の運動歴や心的外傷による副腎疲労も考察できます。

また今回、生理で救急車を呼ぶか悩むほどの苦しみを体験したことも脳に対するダメージ(フラッシュバック)も大きかったのでしょう。

人の身体と心は密接に関わり、女性の病の根底には血があります。そのため衝脈のことを考えて公孫を選んだわけですが、この方法、手技を統一するとなると個体差を気にしないことになります。

『月刊 医道の日本 2020年1月・2月号』においてツボの選び方が特集されていましたが、みなさん考察法も選穴も異なるわけで、統一性を求めることは困難であることが分かります。それでも変化を与えることができるのは1つに意識というものが何らかの影響を与えるほか、刺激有れば何か効くということもあり、結果としては曖昧なものになることは確かです。

ですから情報の共有ができても、人間というものを介して何かを施すとなると結果に差が生じてしまうと思うのです。

例えば好きな人とデートするとして。

統計に基づいた完璧なマニュアルでエスコートしたとしても、結果的に結ばれる確率は定かではありません。

そこにはさまざまな外部要因も影響しますし、その人の内部要因、さらには気質、環境、遺伝子的なものも含まれます。

今回、このような鍼灸をおこない、私だからできた、治った、効いた、という驕りはまったくなく、いかに統一化が難しいか考えるきっかけにもなりました。

そして、これからの社会でこの人間らしく考えるということが失われてしまうと生命的にもつまらないような気がします。

人間は人間らしく、感覚的に、動物的に、本能的に人を愛し、自分に本物であって良いと個人的に思います。

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