「病気が体表にある時は湯液や膏薬が効き、血脈に進行した時は針が効きます。胃腸に進行した時は薬酒が効きます。しかし、骨髄にまで進んでしまうと神様ですらどうしょうもありません」
参考書籍:『鍼灸治療の真髄|岡部素道|績文堂刊 』
これは病気に対する治療の順序を示した言葉です。
そして、この言葉が示している最も大切なことは——
病気にならないこと。
あるいは、軽いうちに回復すること。
つまり、第一の目的は「予防」です。
病気はどこから始まるのか
東洋医学では、病気は「表(皮膚)」から「裏(内臓)」へと進行すると考えます。
だからこそ「風邪は万病の元」と言われます。
風邪をこじらせれば、回復までに時間がかかる。
だからまず、風邪をひかないことが重要になります。
予防とは何をすることか
予防とは、単なる手洗いうがいではありません。
外因(風・寒・暑・湿・火)
内因(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)
不内外因(過労・不摂生・生活習慣・環境・外傷など)
こうしたものを見直すことです。
そして健康管理として、
鍼で微細な刺激を与え、
灸で温熱を加えることで、
体温や免疫力を整えていく。
現代における誤解
現代では、医療=「すぐ治るもの」という認識があります。
そのため、
- 月に1回
- 数ヶ月に1回
という頻度で施術を受けながら、
「治らない」と感じる方が多くいます。
しかし、それでは本来望む結果には至りません。
なぜ差が生まれるのか
西洋医学は、短期間での回復を目的とした対症療法が中心です。
一方で東洋医学は、
身体そのものの状態を変えていく医学です。
そのため、
- 生活
- 思考
- 習慣
すべてが影響します。
治癒とは何か
私は、
鍼灸で病気が「治る」とも、
病院に行けば「治る」とも考えていません。
本当に大切なのは、
どれだけ身体を養ってきたか
という積み重ねです。
なぜ変化しないのか
変化が起こらない理由は様々です。
- 刺激量の問題
- 身体の状態
- 心理的要因
- 生活習慣
そして多くの場合、
身体の準備が整っていないことが原因です。
施術の考え方
施術は1回で大きく変わるものではありません。
だからこそ、
- 病気の場合は集中的に
- 健康管理は定期的に
継続する必要があります。
また、変化には個人差があります。
年齢、既往歴、生活習慣、思考パターンなど、
あらゆる要素が影響します。
大切なこと
現代は情報が多く、
- 薬があれば大丈夫
- 鍼をすれば安心
- 食事だけで健康
といったように、考えが偏りやすい時代です。
しかし本当に大切なのは、
バランスです。
「中庸を得る」ということ。
最後に
本来、健康とは
よく寝て、
よく食べて、
よく動き、
大切な人と関わりながら生きることです。
その上に、医療があります。
私は鍼灸師ですが、
本音を言えば、
病気は必要のないものだと思っています。
ただ、病気によって気づく人がいることも知っています。
だからこそ、
学んだことを言葉にし、
少しでも役立てたいと考えています。

