モイラ・スチュアートらが「患者中心の医療」を展開させるための概念として提唱したこの考えを知ったのは今から15年前のこと。
鍼灸院に訪れる方の病気を扱うものの中には「病」をともなわない「疾患」もあれば、「疾患」をともなわない「病」もあります。
しかし、多くの場合、クライアントは「病」の感情をともなって「疾患」を患っています。
しかもこの「病」は「疾患」の重症度だけでなく、患者さんが抱える心理・社会的な問題に大きな影響を受けているのです。
この「疾患」とは、生物学的要因のあるもの。つまり病気の原因として身体診察や検査によって異常が認められるもの。
「病」は、心理・社会的要因のあるもの。病気の原因として身体診察や検査によって異常が認められず、クライアントの心理・社会的なものに原因があるものとしています。
仮に腰痛で来院する人が腰部ヘルニアだった場合、それは疾患として痛みを有していることは分かります.
しかし、腰部ヘルニアがあったとしても腰痛を気にしない方もいます。 そして腰痛を訴えているにも関わらず身体の構造に問題がない方もいるのです。
その腰痛が「疾患」なのか「病」なのかは、専門的に会話をすればみえてくるのですが、病気は疾患だけを示すのではないということをご理解ください。
過去の記憶、いま抱えている不安や悩み、ストレスによっても変化するのです。
鍼灸院へはどんな時に行くべきか。
それは時々、状態に応じて施術も提案も変わりますから遠慮せずにご来院ください。