うつ病について
うつ病は、気分がひどく落ち込んだり何事にも興味を持てなくなったりして強い苦痛を感じ、日常の生活に支障が現れるまでになった状態です。
こうした状態は、日常的な軽度の落ち込みから重篤なものまで連続線上にあるものとしてとらえられていて、原因についてはまだはっきりとわかっていません。
うつ病の基本的な症状は、強い抑うつ気分、興味や喜びの喪失、食欲の障害、睡眠の障害、精神運動の障害(制止または焦燥)、疲れやすさ、気分の減退、強い罪責感、思考力や集中力の低下、死への思いであり、他に、身体の不定愁訴を訴える人も多く、被害妄想などの精神病症状が認められることもある(厚生労働省地域におけるうつ対策検討会作成の保健医療従事者マニュアル参照)。
日本のうつ病
日本における有病率は欧米より低いものの、生涯に約15人に1人、過去12か月間には約50人に1人がうつ病を経験しています。
うつ病にかかっている人の1/4程度が医師を受診していますが、残りの3/4は病状で悩んでいても病気であると気づかなかったり、医療機関を受診しづらかったりして、医療を受けていません。
うつ病とは
1)うつ病は特別な人がかかる病気ではなく、誰でもかかる可能性があります。
2)うつ病も心身のエネルギーを低下させ、いろいろな病気の原因になったり、病気を悪化させたり、最悪の場合には自殺の恐れもでてきます。
3)心配や過労・ストレスが続いたり、孤独や孤立感が強くなったり、将来への希望が見出せないと感じた時などにうつ病にかかりやすいです。
4)うつ病は早期発見、早期治療が大事です。しかし、長く続くこともあり、その場合は辛抱強く治療することが大事です。
うつ病はどうして起こるの?
うつ病になりやすい性格は、几帳面で真面目、責任感が強い人がうつ病になりやすいと言われていますが、これは大部分の日本人に共通した特徴です。これが人並み以上に強い場合や考え方に柔軟性が乏しい人、開き直りや決断ができない人はストレスを受け止めやすく、結果としてうつ病になりやすいと言えます。
うつ病のきっかけは、様々な生活体験など。ストレスになりやすいこれらの体験と個人の性格や行動様式が相互に関係して、一部の人がうつ病になります。
うつ病の人がとる行動
うつ病を疑うサイン(自分が気づくサイン)
1)悲しい、憂うつな気分、沈んだ気分
2)何事にも興味がわかず、楽しくない
3)疲れやすい、元気がない(だるい)
4)気力、意欲、集中力の低下を自覚する(おっくう)
5)寝つきが悪くて、朝早く目がさめる
6)食欲がなくなる
7)人に会いたくなくなる
8)夕方より朝方の方が気分、体調が悪い
9)品パイ事が頭から離れず、考えが堂々めぐりする
10)失敗や悲しみ、失望から立ち直れない
11)自分を責め、自分は価値がないと感じる など
うつ病を疑うサイン(周囲が気づく変化)
1)以前と比べて表情が暗く、元気がない
2)体調不良の訴え(身体の痛みや倦怠感)が多くなる
3)仕事や家事の効率が低下、ミスが増える
4)周囲との交流を避けるようになる
5)遅刻、早退、欠勤(欠席)が増加する
6)趣味やスポーツ、外出をしなくなる
7)飲酒量が増える など
うつ病が疑われたら
自分がした方が良いこと
1)専門家(医師・保健師)に相談(受診)してください
2)休養と場合によっては服用が必要です
3)早期に対策をおこなうと早く回復します
周囲の人がした方がよいこと
1)うつ病の症状について質問して原因について尋ねてください
2)睡眠障害であったり、うつの症状が強くで日常の仕事、家事などが困難であれば、休養と治療を勧めてください
3)保健所、精神保健福祉センターや医療機関(精神科、心療内科、かかりつけ医)などで相談するよう勧めてください。誰かが付き添って行ってください。
4)本人が受診を拒否した場合、本人が信頼している家族、先輩、友人などから受診を勧めてもらってください
5)治療が始まったら、本人の回復ペースに配慮して、支援してください
無理に外出・運動・気分転換を勧めずに、本人がその気になった時点でこれらのことを支援してください。